怖いものがあった。
それは自分が幸福であることだった。
すくなくとも、そのように思われた。というのは、内戦の続く真っ只中で生まれ育ったのでもなければ、親が犯罪者でもなかったからだ。
飢えに苦しみもせず、生死をさまよったこともない。平凡な人生だった。
小学生のころ、自分は特別だと思っていた。他の子供たちは子供すぎて、心を開けるのは教師だけのように思われたのだ。
だが教師と呼ばれていた人々が無能であることに中学年のときに気がついた。彼らはなに一つ理解していなかった。
中学に上がると尊敬できそうな教師に出会った。しかし今から考えると彼も実に愚かしく思えるのだ。
高専に入り、心から尊敬できる人に会った。それは今でも忘れえない。この世界の希望だ。だが、その希望の人の前に今は行けない。
今度は自分が愚かだからだ。自己の優越感はいつしか消え去り、劣等感へとすげかわっていた。
実に平凡な人生だ。
そう思っていた。幸福ですらあり、そのことを恐れてさえいた。これから途轍もない不幸がやってくるのではなないかと、恐れていたのだ。
だが、今になってその不安は変容してきている。そもそも、僕は幸福だったのだろうか…
真の友情も、信頼も愛も味わわずに送ってきたこの人生はほんとうに幸福だったのだろうか。
このところ、自分が不幸なのではないかという気がする。
高専も大学も受かると思って他のところを受けずに通ってしまった。今度もそうなると思っていたのだ。
だが現実は現実的だ。
人生で初めて躓いたように思えた。だが、本当はそうではないのかもしれない。本当は鈍く、愚かで、救いようもない無能が、今になって露わになっただけのような気がする。
それは精神科へ通い始め、いよいよ入院という社会的な措置によって決定的なものになった。強制入院ではなかったから、まだ救いがあるのかもしれない。
中学のころ憧れていた太宰に一歩も二歩も、望まない形で近づいている。このまま行けば、僕は近いうちに自殺するしかない。
死ぬなら通貨発行してから死のうぜwww
返信削除再度のコメントありがとう!
返信削除そうだね。通貨発行したい!